不安障害と脳内の栄養「コリン」の関係が示される

最近の研究で、不安障害を持つ人は脳内の必須栄養素「コリン」のレベルが、そうでない人に比べて一貫して低い可能性が示されました。この研究は、過去の複数の研究を統合したメタ分析によるものです。

    


出典:psypost「Anxiety disorders linked to lower levels of key nutrient


研究の背景と目的

不安障害には、一般化不安障害、パニック障害、社交不安などがあり、多くの人が経験する精神的な問題です。しかしその原因は複雑で、脳のさまざまな領域や機能の乱れが関与することが指摘されてきました。今回の研究は、こうした不安障害に共通する「生物学的な手がかり」を探すことを目的としています。

 

方法 ― 25の研究を統合した比較

研究チームは、過去に行われた25の研究を統合し、不安障害の診断を受けた370名と、診断歴のない342名の脳データを比較しました。それぞれの研究では、脳の特定領域における化学物質の濃度を測定する「プロトン磁気共鳴スペクトロスコピー(¹H-MRS)」という方法が使われています。

 

結果 ― 不安障害者は脳内コリンが平均約8%少ない

分析の結果、不安を抱える人たちはコリン含有化合物の量が平均で約8%低いことがわかりました。特に前頭前皮質など、思考や感情制御に関わる脳の領域でその差は顕著にでています。この結果は複数の不安障害に共通して見られます。

 

なぜコリンが重要か ― 脳と心の健康との関係

コリンは、細胞膜の構成成分であり、また記憶や気分、筋肉の働きに関わる神経伝達物質の原材料にもなる重要な栄養素です。体内でもごくわずかは生成されますが、ほとんどは食事から得る必要があります。

研究者たちは、不安状態が続くことで脳が常に高い警戒モードにあり、その状態を維持するためにコリンの消費が増え、結果としてレベルが低下する可能性があると指摘しています。

 

限界 ― 因果関係はまだ不明

今回の研究が示しているのは「関連性」であり、「コリンが少ないから不安になった」「不安のせいでコリンが減った」という因果関係ではありません。生活習慣や環境、遺伝など、他の要因が影響している可能性もあります。

また対象となった研究は特定の人々に限定されており、すべての人に当てはまるとは限らない点も注意が必要です。

 

日常でできること ― バランスの良い食事で心と脳を守る

この研究結果を受けて、コリンを含む食材を意識的に取り入れることが提案されています。例えば卵、魚、肉、大豆などがコリンを多く含む食品です。ただし、コリンだけに頼るのではなく、睡眠・運動・生活習慣全体のバランスが大切です。

この発見は、栄養とメンタルヘルスの関係に新しい視点をもたらすものであり、日々の食事を見直すきっかけになりそうです。

 

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