出典:medicalxpress「https://medicalxpress.com/news/2025-12-early-childhood-patterns-picky-ripple.html」
ある新しい研究で、幼児期に「食べ物を極端に選ぶ/避ける」といった傾向を持つ子どもたちの多くで、その後も成長や発達にわたって様々な困難が続きやすいことが示されました。研究は、ノルウェーの全国出生コホートを使った長期調査です。
対象と方法
研究では、3歳と8歳のときに「回避・制限的な食事パターン(ARFI-broad)」を示した子どもを追跡。35,751人の子どものうち、少なくとも一方の時点でARFI-broadの症状を示したグループを中心に、発達・健康面の状況を分析しました。
ARFI-broadとは、好き嫌いが激しい、皿を押しのける、新しい食べ物を拒む、食事量が少ない、食べるのが遅い、食事を楽しめないなど、「食に関する制限や回避」がある状態のことです。
主な発見 ― 偏食が続く子どもは発達のリスクが高め
- 3歳から8歳にわたって食事の制限・回避が続いた子ども(persistent ARFI-broad)は、言語発達、運動能力、感情・行動、注意・過活動、社会性、協調性など、複数の発達指標で他の子どもより困難が多い傾向が確認されました。
- 14歳頃になると、社会性行動(他者との協調や共感行動)が低めになる報告もあります。
- また、知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、てんかんなどの診断率が、偏食がない子どもに比べてやや高いことも報告されています。
遺伝的な要素も影響か
この傾向には遺伝的な背景がある可能性も示されました。共通の遺伝的変異が、回避・制限的な食事パターンの違いのおよそ 8〜16% を説明できるとされ、さらにその遺伝的素因は神経発達、認知能力、身体成長、消化器の健康など他の要素とも重なっている可能性が示されています。
なぜこの研究が重要か
これまで「子どもの好き嫌い、偏食」は成長過程の一過性のものと考えられがちでした。しかしこの研究は、一部の子どもにとってそれが長期的な発達リスクと結びつくことを示唆しています。早期に食事の偏りに気づき、適切に対処することの重要性が浮き彫りになりました。

