食事中のミネラル摂取とメンタルヘルス — 新たな大規模研究の結果

最近の大規模な研究により、食事から摂取するミネラルの量と、将来的なメンタルヘルスのリスクに関連がある可能性が示されました。

対象とされたのは、英国で広く利用されているデータベース UK Biobank のデータから、精神疾患の診断歴がない約 19万9,877人。彼らの食習慣を、複数回の「24時間食事アンケート」で分析し、12種の必須ミネラル(カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、セレンなど)の平均的な摂取量を推定しました。

その後、中央値13年にわたって追跡し、精神疾患や自殺などの診断・記録の有無をチェックしました。対象となった疾患には、うつ病、不安症、PTSD、統合失調症、双極性障害、自殺などが含まれています。解析では、年齢、性別、社会経済状況、BMI、喫煙・飲酒など、メンタルヘルスに影響を与える可能性のある多くの要因を統計的に調整しています。

 


出典:psypost「New study finds links between dietary mineral intake and mental health risk


主な発見 — ミネラル摂取とメンタル疾患リスクの関連

この研究で明らかになった “ミネラル摂取とメンタルヘルスの相関” は、以下の通りです。

  • 鉄 (Iron)マグネシウム (Magnesium)セレン (Selenium) の摂取量が多い人ほど、うつ病のリスクが低いという関連
    • 特に鉄の最も多いグループは、最も少ないグループと比べて、うつ病リスクが約 12%低下
  • カルシウム (Calcium) の摂取量が多い人は、うつ病リスクが約10%上昇、不安症リスクが約15%上昇 という関連
  • その他:
    • マンガン (Manganese) の摂取が多いと、自殺リスクが低下する傾向
    • 亜鉛 (Zinc) の摂取が多いと、PTSDのリスクが低下する傾向
  • 統合失調症や双極性障害などについては、どのミネラルとも有意な関連は見つかっていない

また、性別や年齢によって関連が異なりました:

  • 女性では、鉄・マグネシウム・亜鉛・セレンなどの摂取が、うつ病リスク低下とより強く関連。
  • 年齢別では、55歳以下のグループで、マグネシウムや他のミネラルの影響がより顕著。

注意点 — 「関係がある」だけで「原因とは断言できない」

この研究はあくまで 観察型のコホート研究 であり、ミネラル摂取の多さや少なさが 直接的に病気を防ぐ/起こす と断定するものではありません。あくまで「関連性」が見つかったにすぎず、他の要因(生活習慣、遺伝、環境など)が影響している可能性もあります。

また、対象の大多数が白人で比較的健康な人々で構成されており、すべての人に当てはまるとは限らない点も指摘されています。


研究が示す意味 ― ミネラル摂取と心の健康の関係

この研究は、以前から示唆されていた「ミネラルとメンタルヘルスの関連」を、大規模かつ長期間にわたって検証したものです。その結果、鉄・マグネシウム・セレンなどの適切な摂取が、うつなどのリスク低下と関連する可能性があることが示されました。一方で、カルシウムの摂取が多すぎることは、逆にリスクを高める可能性があるようです。

これらの結果は、バランスの良い食事の重要性を再認識させるものであり、将来的には「栄養バランスを整えることでメンタルの健康維持につなげる」というアプローチのひとつの根拠になるかもしれません。


私たちにできること ― 日々の食事で意識したいポイント

もしこの研究結果を参考にするなら、以下のようなミネラルを含む食材を、偏りなくバランスよく摂取することが考えられます。

  • 鉄:赤身肉、レバー、ほうれん草など
  • マグネシウム:ナッツ、豆類、葉野菜など
  • セレン:魚介類、ナッツ、肉類など
  • 亜鉛:肉類、豆、魚介類など
  • マンガン:豆類、種実類、葉物野菜など

ただし、「このミネラルだけをたくさんとればいい」「サプリで充分」という単純な考えは避けたいところ。あくまで「多様なミネラルをバランスよく含む食事」が基本、という姿勢が大切です。

 

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