多くの人が一度は、「もっと社交的になりたい」「感情的になるのを抑えたい」と考えたことがあるでしょう。
長い間、心理学の世界では「性格は幼少期に形成され、生涯固定される」という考えが根強くありました。しかし、近年の研究では、この考えは部分的にしか正しくないことが示されています。
果たして、私たちは生まれ持った性格に縛られているのでしょうか? 心理学の専門家の見解をもとに、性格を変えるための具体的なアプローチを見ていきましょう。
出典:Can Your Personality Really Change Over Time?
「https://www.psypost.org/scientists-identify-a-fat-derived-hormone-that-drives-the-mood-benefits-of-exercise/」
1. 性格は「遺伝」と「環境」の相互作用で決まる
性格がどのように形成されるかという問いに対し、専門家たちは「生まれ持った遺伝」と「育ちや経験」の両方の力が相互に作用することで決まると説明しています。
例えば、遺伝的に「おおらかで友好的」な傾向を持っていても、ストレスの多い環境で働けば、一時的に短気になったり、神経質になったりすることがあります。私たちの性格は、固定された設計図ではなく、環境との継続的な相互作用の中で表現されるものなのです。
2. 性格の「真ん中の部分」を変える
心理学者のキャロル・ドゥエック能力
この「中間的な要素」とは、具体的に以下のものです。
- 信念: 自分自身や世界に対する考え方。
- 目標設定と対処戦略: ストレスへの対処法や目標設定の方法。
つまり、「性格そのもの」を変えるのが難しくても、「性格の表現を形作る土台となる考え方や習慣」は変えられるということです。
3. 性格を変えるための具体的な4つの方法
もしあなたが望ましい自分に近づきたいなら、記事では以下の4つの実践的なアプローチが推奨されています。
① 新しい習慣を学ぶ
- 心理学者は、親切や正直さといったポジティブな性格特性を持つ人は、そうした行動が習慣的な反応として定着していることを発見しました。
- 新しい習慣を身につけるには時間と努力が必要ですが、繰り返すことで、これらの新しい行動パターンは「第二の天性」となり、性格の一部として定着していきます。
② 自己信念に異議を唱える
- 「私は内向的だから社交的になれない」というように、「自分の能力は固定されていて変わらない」と信じている限り、変化への努力は生まれません。
- 自分の特性は「変わる可能性がある」と信じることで、積極的に努力をする意欲が生まれます。
③ 「努力」に焦点を当てる
- ドゥエック氏の研究は、「知性」や「才能」といった能力そのものを褒めるのではなく、「努力」や「問題解決への取り組み方」を褒めることの重要性を示しています。
- 「私は賢い」ではなく「私は本当によく頑張った」と考える「成長マインドセット(Growth Mindset)」を持つことで、困難に直面しても粘り強く挑戦し、真の変化と成長を経験しやすくなります。
④ 役を演じてみる(Act the Part)
- ポジティブ心理学者のクリストファー・ピーターソン氏は、内向的な自分がキャリアに悪影響を与えると考え、講演など必要な場面では「外向的な人のふり」をすることにしました。
- 結果として、その外向的な振る舞いは自然なものとなり、彼の行動パターンの一部になりました。完全に内向性が消えたわけではなくとも、必要な場面で望むように振る舞うことができるようになったのです。
真の変革は「考え方」から
性格の核となる部分をガラッと変えることは難しいかもしれません。しかし、この記事は、私たちの行動や思考を司る「信念」や「習慣」といった土台を変えることが、最終的に私たちの機能や振る舞いに、本質的で持続的な変化をもたらすことを教えてくれます。
望む自分に近づくためには、まず「自分は変われる」と信じ、小さな習慣を積み重ねることが何よりも大切です。

